アケシン

記事一覧(26)

GINZA掲載コーネリアス記事を読んで。そして2ndシングル「いつか / どこか」について。

GINZA2017年7月号掲載のコーネリアス・インタビューを読む。 アルバム全体、というよりは、主に新作1st e.p.「あなたがいるなら」を基にした内容だったかな。 "作品の雰囲気を変えるにあたって「自分で歌う」という選択肢が消去法で残った"、という物言いが実に彼らしいなあ、とニヤリ。あとは、免許取得による音楽への影響と変化、自分やその周辺の加齢や死、そして血筋や親子の話などなど。 一番読み応えを感じたのは、小西康陽さんの寄稿。その中で、フリッパーズ〜初期コーネリアスが歌詞の中で多用していた「〜だろう」から感じ取れる表現の素晴らしさに触れてくれていたのが嬉しかった。そして、その「〜だろう」という表現は新作の中でまた復活している、というね。  新作『mellow waves』2ndシングル「いつか / どこか」。自分はこの曲、すっごく好きで。近年(といっても10年以上経っているが)『POINT』〜『SENSUOUS』で彼が確立したコーネリアス印なサウンドと、初期コーネリアスで見受けられた透徹された冷めた歌詞が自然に融合していて。「〜ね?」と一見共感を呼びかけてるような言い回しなのに、実は完結しきっている歌詞と、ノイジーなギターフレーズやエレクトロなサウンドが相まったときに、とても不思議なサムシング=気持ちよさが生まれている。中村勇吾氏が担当したMVのスペイシーな映像は最初意外だったけど、METAFIVEを通過した今ならではの映像、ということで納得。まるで点(ポイント)の集合体として形作られているかのような、ザラついた小山田氏が浮かんでは消えていく映像をジッと見つめていると実におもしろい。  そんなわけで、久々のコーネリアスの新曲群。有機的に鳴った結果の、冷めた感じ。いい感じ。

saint etienne / Home Counties(2017)

セイント・エティエンヌのデビュー・アルバム「Foxbase Alpha 」。リリースされてから25年経った今も色褪せずに聴き続けられている英ダンス・ポップアルバムだけど、2017年、彼らはその名盤にも引けを取らない新作「Home Counties」をドロップしてくれた。全19曲とボリュームたっぷりながら、飽きることなく一気に聴き通せる風通しの良さには、聴いていて超うれしくなってしまった。ぶいぶい低音の効いたダンスナンバーから、しっとり目のメロウチューンまで、楽曲はバラエティに豊んでいる。それでいて、一聴して"saint etienne"のそれと分かる仕上がり。どの曲を聴いても、ちょっと憂いたメロディから零れ落ちる瑞々しい音の粒子が、耳に沁みてきて良い。それはヴォーカル、サラ・クラックネルの声から受ける印象も同様。僕の心のドアをノックするのはいつだって彼女の声だ。前作やその前の作品の時は、アルバムを通して聴いたときにちょっと物足りなさを感じた部分もあったので、なんで今作はこんなに満足して聴けてるんだろう、って考えた結果、プロデュースをヤング・ガン・シルバー・フォックスのショーン・リーが担当しているのが、その一因かもなあ、と感じた。彼の作品は去年末に狂ったように聴き続けていたので(こちらもチェックしてみてね)。

L - R / Lefty in the Right 左利きの真実 (1992)

最初に、このアルバム聴いたときはホント脳内と耳がぶっ飛んだのを今でも覚えている。アルバムタイトル「Lefty in the Right」にもヤられた。左利き - 少数派の意見も聞け、なんて意味合いを含んでいて。自分が左利きだったのもあったし、そう言い放つ姿勢的な部分でもとても共感できた。いつだって多勢が勝つことが多いけど、それがかならずしも真実とは限らないから。そういえば、自分が2015年まで続けていたブログタイトルにも使用していたね。http://akeshin.blogspot.jp楽曲、楽器の使い方、コーラスの入れ方、曲と曲の繋ぎ方。どれを取ってもどう考えても粘質的なまでのマニアックさと、それを小難しく感じさせないポップさのバランスが最高だった。黒沢健一の声も、なにか歯がゆさと苛立ちを含みつつもものすごく歌詞が聴き取りやすく、すっきりと軽やかに立っていて。2017年の今、聴き直してみても、とても新鮮に耳に心に響いてくるこの名盤感はなんなのだろう。個人的にはポリスター在籍時の作品にものすごく思い入れがありすぎて、「HELLO,IT'S ME」「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」で大ブレイクを果たしたポニーキャニオン期の作品はジャケットデザイン面も含めて、乗り切れなかった。それでも、ポップフィールドの大海原の中を試行錯誤しながら進む彼らを、一作一作ずっと期待しながらいろいろなことを感じながら聴き続けていた、僕にとって特別なバンド。黒沢健一氏が闘病の末、亡くなってしまったこともあって、軽い気持ちで聴けなくなった部分はあるけれど、それでも今もこうして聴き続けられるのは彼らが鳴らしていたポップさのせい。そこんじょそこらのちょっとした"ロック"より、"ポップ"であることの方が過激であることを、彼らは僕に見せつけてくれた。

超雑感「フジロックでオザケンとコーネリアスはどっちを観るべきなのか」

フリッパーズ・ギターというバンドの「なにか」に引っかかった人たちにとって、2017年という年は忘れられない年になることはまちがいない。特に、このバンドが解散した後、小沢健二(オザケン)もしくは小山田圭吾(コーネリアス)のどちらかに肩入れがきっちり分けられなかった渋谷系こまったちゃんな方にとってはね(俺含む)。我思うに、小沢健二はやはり2016年に観ておくべきだったもので、できれば2017年はコーネリアスを観るべき年なんじゃないかな、と思っている。とはいえ、2016年に小沢健二「魔法的」を観たくても観れなかった方々も相当数いるとは思うので、そういう方々の中でフジロックに行ける方は、まずは小沢健二のライブを観ることに重きを置いていただくのがよいと思う。小沢健二のサイト『ひふみよ』で氏ご自身が、"「魔法的」ツアーバンドのギアを一段上げる"とか、"ヒット曲と未来のヒット曲を混ぜます(あはは、不遜)"とアゲアゲで書いているぐらいですから。オザケンも言うよねー。2017年「流動体について」リリース及びその後のTVを中心とした幾つかのプロモーションだけで、氏への想いが再燃した方(もしくはずっとめらめら燃やし続けていた方)で、去年の「魔法的」で演奏された新曲を未聴の方は、その曲たちを聴いたら脳内が興奮し過ぎてドーパミンが失禁しちゃうことでしょう。因みに、私は昨年「フクロウの声が聞こえる」「 シナモン(都市と家庭)」「涙は透明な血なのか?(サメが来ないうちに)」「超越者たち」「飛行する君と僕のために」「その時、愛」にヤられてしまいました(つまり新曲全曲)。で、上記の方々はコーネリアスは他のフェスか秋口に予定されているニューアルバムのツアーを満喫するのがよいと思われます。もちろん時間帯が完全に被らずに両方観れるに越したことはないですけどね。しかし、野外で夜の時間帯にコーネリアスのメロウなニューソング聴くのかなり気持ちいいだろうな。本筋はやはりこっちな気はする。コーネリアス単独の野外ライブというと、個人的には2008年9月末に群馬でCRUE-L瀧見憲司氏仕切りで行われたフェス「FUTURE」で観たのが確か最後。ガクガクブルブル極寒の中、「SENSUOUS」なセットを観たのを今でも覚えている。あと、このフェスには、ゆらゆら帝国も出演していて、坂本慎太郎氏がこれまたかっこよかったのであった。しかし、坂本氏もコーネリアス新曲「あなたがいるなら」の歌詞では、単なるラブソングではなく、まるで小沢健二を思わせる書き方をしていてズルい男よねー(好き)。あ、そういえばこのフェスに出演していた女子2人組のバンドStoned Green Apples、好きだったことも思い出した。あとカヒミカリイの弟さんの一人ユニットSpikewaveのDJがえらく微笑ましいものだったことも。で、野外フェスといえば、実は今年のフジロック、わたくしまったく行く気がしなかったのでした。この二人が同じ日の同じ時間帯にほぼほぼ同じ場所にいるってのに、まったく行く気がしないんだから、きっとフジロックに行くことは一生ないんだろうなあ。もしかしたら「あの日あの時あの場所で君に会えなかったらー」なんて小田和正の「ラブストーリーは突然に」の歌詞を口ずさみながら、悔やんだりする時が来たりするのだろうか。

2016 MY BEST ALBUM 50

約1時間。ざっくり振り返ってみただけでも、2016年は豊作な年だったことを再確認。宇多田ヒカルのアルバムは通して聴く機会がなかったので選外に。例年のことですが、順位はある程度の目安のようなもので、あってないようなモノです。特に、1〜25位はかなり繰り返し聴いたアルバムとなっています。それぞれアーティスト名・作品名のところに、そのアルバムに関する動画やリードトラックのリンクを貼っているので、未聴の方はぜひチェックしてみてください。あとapple musicで聴ける作品もけっこうあります。1.METAFIVE / META2.富田ラボ / SUPERFINE3.小沢健二 / 「魔法的」新曲7曲4.OGRE YOU ASSHOLE / ハンドルを放す前に5.The Radio Dept. / Running Out Of Love6.Blood Orange / Freetown Sound7.b-flower / the very best of b-flower sings written between 1987 and 19988.For Tracy Hyde / Film Bleu9.The Laundries / Synanthrope10.Trashcan Sinatras / Wild Pendulum『META』は自分が好きなミュージシャンが勢ぞろい、というのを抜きにしても大好きすぎたアルバム。一番個人的に思い入れのないLEO今井氏の加入により、躍動感と刺激いっぱいの1枚に仕上がったのも面白い。このアルバム、大半の音楽雑誌の2016年ベストでは当たりさわりない位置づけになってるけど、嘘でしょ。ポップミュージックというフォーマット自体を完璧にアップデートしたって意味で冨田ラボのアルバムは最高すぎた。現代ジャズの導入と、ニューカマーな歌い手たちの組み合わせも成功だったね。3位。まあ邪道なんですが、2016年を振り返る上で無視はできないので(音楽ジャーナリストの宇野維正氏も同じことやっていたけど)。ひふみよライブ盤『我ら、時』と同じ形態でもいいし、ブルーレイやDVDでもいいから『魔法的』ライブを形にしてくれないかな。彼の新曲は、もっと広く聴かれるべき。お帰りなさい、小沢君。4位のオウガは、自分の中で揺らぎなかったゆらゆら帝国のポジショニングにとって変わる位置についにきたな、という。バンド感のあるミニマルグルーヴがたまらなく気持ちいいよ。洋楽では、The Radio Dept.新作は、11位のTHE 1975と並んでとにかく良く聴いた一枚。楽曲の安定感とアレンジのアップデート感が絶妙すぎ。Blood Orangeは前作超えしたとはいえなかったけど、それでもやはりすごく好きな作品。音が鳴った瞬間に、彼の音楽だと分かる記名性は昨今の音楽の中では貴重なものだと思う。7位、b-flowerのベスト盤。2枚組で、それぞれ70分近く目一杯収録されているにも関わらず、飽きずに聴きとおせる奇跡。リリース時にソウルフラワーユニオンが推してくれたのは実に嬉しかったな。ネオアコとかギターポップとか抜きにして、とりあえずロック好きで彼らを未聴の人はこのベスト盤を聴いてみるといいと思う。ジャケットデザインからも名盤の風格を感じとることができるね。8,9位。共に、自分の中での高い期待値を超えた作品をドロップしてくれて感謝しかない作品。For Tracy Hydeはボーカルがチェンジしたりして順風満帆ばかりではなかったはずだけど、よくここまで蒼くてキレイで切なくてポップな作品にまとめ上げることができたなあ、って感嘆しかない。The Laundriesはメンバー増員もプラス材料で、よりカラフルでより逞しいアルバムに仕上がったことにグッとクる。木村氏のボーカルがより深みを増して沁みるのと、各楽器から鳴らされる1音1音の音の分離がとにかく気持ちよい。10位、トラキャン。またしてもロマンティックな気分にとことん滲みらせてくれました。感謝・感激。11.THE 1975 / 君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。12.サニーデイ・サービス / DANCE TO YOU13.D.A.N / D.A.N.14.おとぎ話 / ISLAY15.METAFIVE / METAHALF16.Homecomings / SALE OF BROKRN DREAMS17.Bell & Sebastian / The Jeepster Singles Collection18.LUCKY TAPES / Cigarette & Alcohol19.Klan Aileen / Klan Aileen20.yahyel / Flesh and Blood11位から20位。若いバンドが多く占める結果に。D.A.N.にしても、yahyelにしても、邦楽だの洋楽だの考えずにフラットに聴けるからとにかく最高だ(共にちょっとボーカルが苦手な点が残念ではあるのだけれど)。THE 1975は絶対ベスト10に入れると思っていたんだけどな。サニーデイサービスは活動再開後のアルバムでは一番好き。印象的なMVも脳裏に焼きついて離れないでいる。Homecomingsは今まで今ひとつ好きになりきれないでいたんだけど、このアルバムにはヤラレタ。ベルセバのシングル集は、自分がもっとも好きな彼らの時期の曲がものの見事に集まっていてとにかく良く聴いた。LUCKY TAPESはとにかく外さないところがニクい。そこがいいところであり、惜しいところでもあるかも。Klan Aileenは聴いてると脳内の興奮具合がかなりエグいです。21.スイスカメラ / 酸素と丘とレンズ22.CHOCOLATE & AKITO / CHOCOLAT & AKITO MEETS THE MATTSON 223.ayU Tokio / 新たなる解24.岡村靖幸 / 幸福25.shuntaro okino / TOO FAR(F-A-R REMIXES)26.岡崎体育 / BASIN TECHNO27.John Cunningham / Fell28.Fishmans / LONG SEASON ’96〜7 96.12.26 赤坂BLITZ(LIVE) 29.カジヒデキ / THE BLUE BOY30.水曜日のカンパネラ / UMA2016年のポップミュージックって視点でいうと、スイスカメラはもっと幅広く聴かれるべき音楽だったって思っている。アレンジにしても、歌詞にしても、演奏にしてもとにかく一筋縄ではないのに、ここまでポップであることの素晴らしさは本当に賛辞したい。少なくても、LUCKY TAPESやayU Tokioらと同じぐらいは聴かれてしかるべき作品なんじゃないかな。昨年の個人的ベストアルバム第1位の沖野さんの『F-A-R』リミックス盤。「しっかり聴ける」リミックス盤って意味でスゴいと思いう。ここ数年は本当に彼にとっての充実期だな。岡崎体育のアルバム聴いていると、"テクノ"ってフォーマットはやっぱり自由で便利なんだなーって思う。あと、彼の場合は音楽+映像が合致したMVが完成系だから、音源のみだとちょっと面白みは減るよね。カジくんのここ数作で続いているとにかくなフレッシュな楽曲・作風も、実はかなりスゴい事だよね。31.Ben Watt / Fever Dream32.堀込泰行 / One33.Weezer / Weezer(White Album)34.Keishi Tanaka / What’s A Trunk?35.Boyish / Strings36.THE NOVEMBERS / Hallelujah37.Brian Eno / The Ship38.James Blake / The Colour in Anything39.Primal Scream / Chaosmosis40.Teenage Fanclub / HereまさかBen Wattや堀込泰行のアルバムが30位台という位置づけになるとは思わなかったな。恐るべし2016年。Keishi Tanaka君の音楽は、僕にはちょっと眩しすぎる。プライマルやTeenage Fanclubもいいアルバム作ってるよね。41.Ben Lee / Freedom,Love and the Recuperation of the Human Mind42.ミツメ / A Long Day43.KIRINJI / ネオ44.never young beach / fan fan45.Sleigh Bells / Jessica Rabbit46.YOUR ROMANCE / 9 Dimensions47.Tim Burgess & Peter Gordon / Same Language,Different World48.宍戸留美 / 東京幻想曲集49.原田知世 / 恋愛小説2~若葉のころ50.野宮真貴 / 男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。Ben Leeは本当に本当に大好きなアーティストの一人。グランドロイヤルでのデビュー期が鮮烈すぎたことが、今となっては足かせになっているくらい、いい声でいい曲を作ってる。原田知世のアルバムはリリースされるごとに愛聴しているんだけど、『恋愛小説2』は苦手だった。もっぱら選曲が自分にフィットしなかったのが原因。あと近年の野宮真貴がしっかと引き受けて提示している「渋谷系」とされる曲たちを聴いていると、自分が好きだった「渋谷系」とのズレがありすぎて、ちょっと頭がクラクラしてくることがあるね。

Jens Lekman / What's That Perfume That You Wear?

気づけば2017年も10日経過。「今年もあと355日しかないんだぜ」と考えるか「まだ355日もあるんだよ」と考えるかで日々の豊かさはかなり変わると思うので、前向きに2017年を過ごしていきたく考えております。だって1日一枚新しいアルバムを聴くならば、あと355枚も聴けるんだからね。さてさて。ここ数日はJens Lekmanの旧譜を聴き直していたりします。というのも、2月に2012年リリース『I Know What Love Isn’t』以来のニューアルバム『Life Will See You Now』がリリースされるから。先行トラック「What's That Perfume That You Wear?」の、ちょいとアダルティなトロピカルなネオアコポップ具合が最高すぎて早くも失禁モードで期待値、すっごく高まっております。この曲、今、自分がDJやってたら絶対ベル&セバスチャンあたりと絡めながら回してるだろうなあ。ロマンティック指数高めのネオアコやギターポップ好きな人には旧譜含めて、ぜひとも聴いていただきたい。しっとりキラッキラな「A Postcard to Nina」(『Night Falls Over Kortedala』収録)や、ほっこりメロウなThe beautiful south ミーツ The Smith的な「Become Someone Else's」(『I Know What Love Isn't』収録)なんか聴いちゃった日には、青春は一度だけ(by Flipper's guitar)なんてこと忘れて胸がキュンとしちゃうと思うよ。

The Ocean Party / Restless

今朝は、オーストラリアのインディポップバンド The Ocean Partyを聴きながら1日をスタートさせました。メルボルンを拠点に、メンバーそれぞれいろいろなバンドで活動している彼ら。今年9月にThe Ocean Partyとして、Spunk!から通算6枚目となるアルバム『Restless』をリリース。サウンドは、バンド名が正に「なるほどね!」と思えるような、ちょっぴりニューオーダー的哀愁&喪失感ありつつの、カラフルなジャングリー・ギターポップ。"青春期"の愛しさと切なさと心弱さがたっぷり感じ取れます。季節外れの浜辺の夕暮れ時に、適量の温度でこんな音楽を流しながら、へなへな踊ったりしたら楽しそうな感じです。因みに、自分の住んでいる街に一緒に踊ってくれる友達はいなさそうですが。一人で踊ってるのも楽しいかもね。収録曲「Back Bar」は、今自分がDJやってたら間違いなく回しているであろう愛しきポップソング。終盤にかけて気持ちよく盛り上がっていく展開と、エバーグリーンさがたまりません。ギターポップは永久に不滅です。だけど、この曲のMVはちょっとなんだかなーとも思ったことも正直にここに書いておきます。でも、そんな野暮ったいところも含めて愛着もてる感じ。ジャケットの淡い感じもたまらないな。apple musicでも聴けますのでぜひ。

YOUNG GUN SILVER FOX / WEST END COAST

ソウルファンクバンド・ママズ・ガンのアンディー・プラッツと、トミー・ゲレロやエイミー・ワインハウスに楽曲を提供してきたショーン・リーの二人によるユニット、ヤング・ガン・シルバー・フォックス。アルバムタイトルが「正に!」とうなづくしかないほど、70年代ウエスト・コーストの空気と風を感じさせるそのサウンドとジャケット。確信犯的プロジェクトなのは間違いないけど、したたかさとかテクニカルな面より先に、とことんソウルフルでムーディな甘ーい歌声とそこに重なるコーラスワークに聴いている耳がとろけてしまうので、いやらしさはまったく感じない。さらに超メロウな美メロに、ジャジーなピアノやキラキラしたキーボードまで絡んでくるんだから、もう! ホントにずる過ぎる仕上がりだ。「今日はトッド・ラングレンを聴こうかなあ」とか「今はネッド・ドヒニーな気分だな」みたいな80's AORモードになったときは、今年一年は大概この一枚を聴いていた気がする。本家殺しという意味では、AOR版フリッパーズ・ギターなんて語り方もできるかもしれないね。二人組ユニットだし。ドライブや食事をしている時のBGMとしての聴き方にもぴったりフィットだし、聴く機会はすごく多いんじゃないかな。マニアックなリスナーにも、ライトユーザーにもオススメできる名盤。apple musicでも聴けちゃうよ。それにしても、P-VINEはロックからソウルまで幅広くいい作品をリリースしてるなあ。素敵。

ピコ太郎 / PPAP

2016年下半期、個人的に好きであるか否かはお構いなしに、なんどもなんども耳にしたピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」。相当な回数あのMVは観たし、他の彼の曲もYoutubeなどで一通りチェックして「ちょっとこれは雑すぎでしょ...」とか思っていた曲もあったりしたので、彼のアルバム『PPAP』に関してはさほど興味がなかったわけですが...。ちょっとナメてました。このアルバムが、ヘッドフォンで聴いた時に与えてくれる"音楽と、言葉の意味や無意味さ"の暴力性は結構なモンでありました。歌詞だけでいえば"親父がロミータ・ハシミコフというロシア人の女の人を連れてきた"だけの「ロミータ・ハシミコフ」。曲の途中「だから何?」という箇所でいきなりアンダーワールド「Born slippy」的展開を見せての強引な押しきり方はかなりズルい。そして、ピコ太郎と同様に今年、音楽と動画を絡めてブレイクしたアーティスト岡崎体育を後ろから襲ってレイプするかのような「☆スイーツまとめて星になれ☆」。曲タイトルが、実はかなり哲学的な「今いる場所、それはここ」。"ピコっ"というピコアタックを曲の適所に配置しピコ太郎の脱力ワールドへ誘う「ねえ・・・」。書いててどんどん説明が雑になってくるので、このあたりでやめておくとして、その手の楽曲にちょっと飽きそうなあたりで複数のバージョンやリミックスの「ペンパイナッポーアッポーペン」を仕込んでいるところが、にくい。ピコ太郎、実にズルい男、である(因みに、個人的には「カナブンブーンデモエビインビン」の方が好み)。先にかるく触れた岡崎体育の場合、「完成形」はミュージックビデオで、アルバムだけで聴くと「MVの映像」が頭に浮かんできて、どうしても聴いているだけだと物足りなさを感じてしまったわけだけど、そのあたりの課題点をピコ太郎は軽々とクリアしてるところが、したたかだ。繰り返すが、ピコ太郎、実にズルい男、である。いや、プロデューサーの古坂大魔王がズルい男なのか?岡崎体育の場合、話題となった「あるある」スタイルに落とし込むには、歌詞に関していえば「ボケとツッコミ」の視点を律儀に仕込まねばならず、何気に説明的にならざるをえないわけであるが、そのあたりピコ太郎は「言葉の意味や響き(+ダンス&キャラ)」のみを徹底して追求できることが、失速せず勢いを落とさずに音楽だけで聴けてしまう要因なのだろう。あと、テクノの第一人者となる前の電気グルーヴ的発想と手法の類似点も意外と見過ごせない気がする。何はともあれ、1歳7か月の娘が「ピコっ」とか「〜ペンっ」とか「...んンッ!」とか歌いだした時点で、個人的には彼に負けた気でおります。娘の名前が「キコ」というので、自分自身何気に「キコっ」とか言っちゃってる時点で土下座レベルだと思っております。芸歴の長いワールドクラスのアーティストは、やはり地味に派手にスゴい。あ、アッポーミュージックでも聴けますよ。

高橋幸宏 / A DAY IN THE NEXT LIFE